10月分の給与計算業務にはご注意を!!
今回は、10月の給与計算業務に直接影響がある「最低賃金の改 定」と「雇用保険料率の変更」に 焦 点を当てます。
最低賃金の改定-すべての都道府県で最低賃金が引き上げられます
改訂された地域別最低賃金額と発効日を確認してください
2022 年10月より47 都道府県で最低賃金額が30円~33 円引き上げられました。最低賃金額変更 のタイミングは、発効日(適用日)を含む給与計算期間からです(発効日(適用日)は地域によって異なります)。
地域別の最低賃金額と発効日(適用日)は、下記の厚生労働省 HP の一覧表でご確認ください。
自社の賃金が、該当地域の最低賃金以上の金額になっているか確認してください
最低賃金は時間額で定められています。日給や月給で賃金を支払っている場合には、賃金を時給換算した金額が、最低賃金額を上回っている必要があります。支 払った賃 金 額が最 低賃 金に 満たない場合、差 額の支払い義務が発生し、法令違反による罰則適用のリスクもあります。
つきましては、下の式をご参照いただき、賃金が最低賃金を上回っているかどうか、賃金支払い前にご確認ください。
(例)月給制で月平均労働時間170 時間、適用される最低賃金額(時間額)が 853 円の場合
支払うべき最低賃金 853 円 / 時間 ×170 時間=140,010 円
→最低賃金を上回る金額かどうかの確認の際に参照される「賃金」は、いわゆる基本給と職務手当などの一部の手当の合計金額です。残業手当や休日出勤手当などの割増賃金等、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは含まれないことに注意が必要です。
この例の場合、いわゆる基本給と一部の対象となる手当の合計金額のみで、140,010 円以上を支払う必要があります。
日給の場合
日給 ÷1 日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
月給の場合
月給 ÷1 ヵ月月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
「出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額」を、「当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって
労働した総労働時間数」で割った金額 ≧ 最低賃金(時間額)
雇用保険料率の変更-従業員負担分の保険料率が変更されます(雇用保険料の天引き額に変更が生じます)
2022年10月の雇用保険料率の変更が給与計算に反映されているか確認してください
雇用保険料率は 例年4月に変 更されています。しかし、2022 年は4月と10月の2回にわたって変更があります。
2022年10月には、従業員負担分の保険料率が変更されるため、賃金から天引きすべき金額に変更が生じる点に注意が必要です。
給与計算ソフト等の設定を確認して、保険料率の変更が計算結果に正しく反映されているか、賃金支払い前に必ず確認してください。
なお、今回の保険料率の変更は、「2022年10月1日を含む給与締日により支給される給与」から適用されます。
社会保険や労働保険に関する制度は毎年のように改正事項があり、会社や従業員に直接影響するものが大変多くあります。
お困りの際は社会保険労務士にぜひご相談ください。弁護士法人グレイスの顧問先様には、無料相談対応を実施しています。