今回は、人事労務分野の手続の中でも代表的な「労働保険の年度更新」について注意点なども含めて解説します。
労働保険の年度更新とは
年度更新とは労働保険(労災保険・雇用保険)に加入している事業主が、年に1度労働保険料の申告・納付を行う手続のことです。
年度更新は以下の2段階の手続からなります。
4月1日から翌年3月31日までを計算の対象期間として支給日ではなく締日で判断します。
① 前年度分の確定した保険料の申告・納付
労働保険、雇用保険に加入する労働者に対する対象期間中に確定した賃金総額に各保険料率を乗じて合算した「確定保険料」を計算します。
※労働保険料に加えて労災保険に加入する全ての事業主に対して一般拠出金(料率0.02/1,000)の負担があります。
※前年の年度更新時に納付済概算保険料がある場合は、差引して計算します。差引による納付超過分は概算保険料の納付に充当が可能です。
②今年度分の概算の保険料の申告・納付
今年度の賃金総額の見込額に各保険料率を乗じて合算した「概算保険料」を計算します。
※①と②の金額の合計を納付します。
雇用保険料率の変更に要注意
雇用保険料率は、2022年4月と10月に保険料率の変更があり、また2023年4月からも料率が変更になりました。これにより労働保険料の計算も、2022年4月から9月、2022年10月から2023年3月、2023年4月から2024年3月のそれぞれの期間で保険料率を分けて計算する必要があります。これまでにない変更ですので、計算の際はご注意ください。
申告・納付の期限
毎年6月1日~7月10日(10日が土日祝日に該当する場合は翌営業日)までの期間に申告・納付する必要があります。
手続、納付が遅れた場合のリスク
- 申告書自体は提出したものの納付期限までに納付がない場合、延滞金を徴収されることがあります。
- 申告手続が遅延したり、手続を行わなかったりする場合は、政府が納付額を決定し追徴金を課す場合もあります。この場合の追徴金は政府で決定した納付額(労働保険料・一般拠出金)の10%となっていますので、注意が必要です。
社会保険労務士へご相談ください
年度更新は1年に1度の手続きのため、人事担当の異動や経験年数が短いなどの事情により不慣れな中で対応しなければならない場合も想定されます。
人事労務の専門家である社会保険労務士へぜひご相談ください。