今回は、前回記事の年度更新手続と並び人事労務分野の重要な手続である「算定基礎届」に
ついて解説します。
【前回記事】
社会保険の算定基礎届とは
社会保険制度において、被保険者の報酬をもとに決定される「標準報酬月額」は毎月支払う保険料額や将来支給される年金額、傷病手当金の支給額などの計算の基礎となる重要なものです。
この「標準報酬月額」と実際の報酬額との間に大きな差が生じないように毎年1 回、「標準報酬月額」の見直しを行います。これを「定時決定」といい、その手続で提出する書類が「算定基礎届」になります。
4月・5月・6 月の報酬(平均月額)で決定
事業主は、全ての被保険者( 下記対象外の被保険者を除く)について、4月・5 月・6 月に支払った報酬額を「被保険者報酬月額算
定基礎届」に記入し、原則、毎年7月1日から10日の間に日本年金機構の事務センターまたは年金事務所に提出します。
【算定基礎届の対象外と被保険者】
① 6月1日以降に被保険者となった人
② 6 月30 日以前に退職した人
③ 7月に随時改定の対象となる人
④ 8 月、9 月に随時改定が予定されている人
報酬月額の計算方法
報酬月額は、4 月・5 月・6 月の3カ月間に支払われた報酬について、原則、次のように計算します。
- 「給与計算の基礎日数」が1 7 日未満の月は計算の対象から除きます。
- 月々に支給される報酬額をもとに計算します。なお、4 月から6 月に年3 回以下の回数で支給される賞与がある場合は計算から除きます。
- 対象月の報酬総額を対象月数で割ります。
※「給与計算の基礎日数」とは、その報酬(給与)の支払いの対象となった日数のことで、下記のとおりです。
・時給制・日給制の場合:実際の出勤日数(有給休暇を含む)
・月給制の場合:歴日数(欠勤により欠勤分が控除になる場合、所定労働日数から欠勤日数を控除した日数)
具体的な計算方法
賞与などが4 回以上支給されたとき
⇒賞与を通常の報酬に含めて算定します。
賞与を通常の報酬に含めて算定します。
⇒中途入社で日割支給があり1か月分の給与の支給のなかった月は除外して算定します。
短時間就労者(通常の正社員より勤務時間の短いもの)
⇒4~6月の支払基礎日数がいずれも17 日未満の場合は、支払基礎日数が1 5 日、1 6 日の月で算定し、いずれも1 5 日未満の場合は、従前の標準報酬月額を当年度分として決定します。
社会保険労務士へご相談ください
算定基礎届も年度更新と同じく1年に1 度の手続のため、手続にご不安のある場合は、人事労務の専門家である社会保険労務士へぜひご相談ください。