今回は、施行が延期となっていた「アルコールチェック検知器の使用義務化」について解説いたします。
アルコールチェックの義務化について
もともと緑ナンバー(事業用自動車)のバス、トラック、タクシーなどの運転者にはアルコールチェックが義務化されていましたが、令和3年に千葉県で発生した白ナンバートラックによる飲酒事故を受け、令和4年4月から白ナンバー車両についても義務化されることになりました。
令和4年10月からはアルコールチェック時の検知器使用義務化も予定されていましたが、検知器の供給不足等を理由に義務化が延期されていたところ、今年の12月からいよいよ義務化が開始されます。
義務化の対象となる事業所
義務化の対象は、安全運転管理者の選任が義務付けられている以下のいずれかの条件を満たす事業所です。
企業単位ではなく事業所単位で判断するのがポイントです。
- 白ナンバー(軽自動車等も含む)の車を5台以上使用している。
- 定員11人以上の車を1台以上使用している
※バイクなどの自動二輪車(原付は除く)は1台を0.5台としてカウントします。
アルコールチェックの具体的な実施方法について
検知器によるアルコールチェックの実施
原則、対面により、運転開始前と運転終了時に測定を実施します。
直行直帰により対面が困難な場合は、カメラやモニターなどドライバーの表情を直接確認できる機器・アプリの活用や、携帯電話や無線機などドライバーと直接対話できる機器を活用して、測定結果をリアルタイムで確認し、報告させる方法により行います。
アルコールチェックは、原則、安全運転管理者が実施しますが、安全運転管理者が不在等の場合は、副安全運転管理者者や安全運転管理者の補助者が行います。
アルコールチェックの記録と保存
以下の内容を記録し、1年間保存する必要があります。記録方法や記録簿の様式は特に定められていません。
- 確認者名
- 運転者名
- 自動車のナンバー
- 確認の日時
- 確認の方法(アルコール検知器使用の有無、非対面時の具体的方法など)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
実施や運用上の注意点
社内で決定したチェック体制(いつ、誰が、誰に対し、どのように等)を車両管理規程などの社内規程に明記し、従業員への周知を行いましょう。
アルコールが検知された従業員への対応やアルコールチェックを拒否した従業員への対応なども就業規則等に規定しておきましょう。
社会保険労務士へご相談ください
アルコールチェックを効果的に実施するためには就業規則等への規定や社内での仕組化が必要です。労務管理の専門家である社会保険労務士へぜひご相談ください。