職場の熱中症予防対策

職場の熱中症予防対策は大丈夫ですか?

非常に短かった梅雨も明け、連日暑い日が続き、熱中症に関するニュースも目にする機会が多いかと思います。皆様の職場におかれても、色々な熱中症対策が行われていることでしょう。厚生労働省によると職場での熱中症により、毎年約20人が亡くなり、約600人が4日以上休業されているようです。

今回は、職場における熱中症予防対策について紹介したいと思います。

なぜ、企業が熱中症予防対策をとらなければならないのか?

労働契約法という法律に「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と記されており、これを「安全配慮義務」といいます。

労働契約により、従業員は会社が提供した場所や施設・設備(職場)において、労働を提供する義務を負い、会社はその労働に対して報酬を支払い、提供する職場において労働者が安全で健康に働けるように配慮する義務を負っています。

この「安全配慮義務」を怠った場合、損害賠償責任を問われるリスクが発生します。

熱中症予防対策のポイント

ここで、厚生労働省が公表している熱中症予防対策のポイントをご紹介します。
会社の実情に合わせて、できることを検討・実施してみましょう。

【1】 WBGT値の把握

WBGTとは暑さ指数とも呼ばれ、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境 ③気温の3つを取り入れた指標です。

【2】 WBGT値を下げるための設備、休憩場所の設置

涼しい休憩場所を準備します。休憩場所には、飲料水や冷たいおしぼり、塩飴などを用意しておきます。

【3】 作業時間の短縮

WBGT値が高いときは、一人での作業を控え、WBGT値に応じて作業の中止やこまめに休憩をとるなどの工夫をしましょう。

【4】 暑熱順化

暑さに慣れるまでの間は十分に休憩を取り、1週間程度かけて徐々に身体を慣らしましょう。特に、入職直後や夏季休暇明けの方は注意が必要です。

【5】健康診断結果に 基づく措置

①糖尿病 ②高血圧症 ③心疾患 ④腎不全  ⑤精神・神経関係の疾患 ⑥広範囲の皮膚疾患 ⑦感冒 ⑧下痢などがあると熱中症にかかりやすくなります。
医師の意見をきいて人員配置を行いましょう。

コミュニケーションをとり暑い季節を乗り切りましょう。

従業員が熱中症になれば、その従業員や家族の負担だけではなく、会社の安全配慮義務を問われるリスクや、一時的な人員不足により業務が回らなくなるなど会社の運営上の支障につながります。日頃から従業員とのコミュニケーションをとりながら、会社も従業員も安心して働ける環境づくりに取り組みましょう。